本日の気になるUIとかUXとか:オーネットの結婚チャンステスト

満を持しての「本日の気になるUIとかUXとか」の第2回です。

ちなみに第1回はフジテレビオンデマンドの話でした。これ修正されたかしらと思ってフジテレビオンデマンドにログインしようと思ったのですが、どのIDで入会したのか覚えてなくて確認できないという。こういうログインインターフェースどうにかしたほうがいいと思うんですけどねえ。これに限らず、TwitterでログインとFacebookでログインのボタンが並んでるサービスとかも思うんですけど、どっちだっけ?みたいなね。

ま、それはいいとして、本日はオーネットの結婚チャンステストであります。(こちら、ランディングページのため、キャンペーン期間とかそういうのが終わったらアクセスできなくなるかもしれませんのであしからず)

ちなみに本日の気になるUIとかUXとかのネタを提供してくださいましたのは、「ひとりは寂しいでしょ」というバナーに引き寄せられてオーネットの結婚チャンステストを開いた、とある世田谷区在住の独身男性(誰)です。ありがとうございます(謎)。

さてその独身男性、意気込みながらサクサクと自分の情報を入力していきます。そして、お相手の希望条件を入力したところ・・・

続きは動画を再生で!

はい。では気になるポイント解説へと移りますね。

出会い婚活系のサービスでは、ふつう、相手に関する希望条件を入力する際の各項目に、具体的な数値などを入力させるほか「気にしない」という選択肢も用意されています。

「気にしない」とは、まさにラベルの通りで、これを選択する人のUXとしては、本当に真の意味で気にしてないのではなくある程度は気にしているんだけども、「まあ細かくは重要ではない」という程度の心持ちになります。

「気にしない」という選択肢がある場合、ふつうは「気にしない」にのみチェックがつき、数値などのフィールドは空欄のままになります。しかしこのサイトでは「気にしない」にチェックをすると、数値フィールドに下限と上限の値が自動的に挿入されます。まあ確かに、気にしないといってるのだから内部的にはそのように処理するのかもしれませんが、具体的に「66歳」とか「195cm」とか表示されると、「いやいや、気にしないつっても加減ってのがあるでしょ!」と。

ちなみに、自動挿入されずに空欄のままであったとしても「気にしないを選ぶ=下限から上限を設定した」として内部処理されている可能性が高いので、出会い婚活系サービスに登録する時は、きめ細かくきちんと自分の希望の好みを入力したほうが良いともいえます。勉強になりますね!

とはいえ、です。この辺はけっこう入力するのも難しいものでして、たとえば希望の年齢を「20」~「30」としたとします。この時、じゃあ31歳だとだめなのかよ?というと、別にそうでもないわけですよね。身長もそうでしょう。1cm違ったらだめなのかよと。もちろん、こだわりとしてだめな場合もあるとは思いますが、バナーからのランディングで無料チャンステストをやってみようかという状況ってのもあるわけです。ここはある程度の揺らぎを許容して頂き、とにかくある程度満足のいくテスト結果というのが得られるのかどうかを知りたいわけです。つまり、いい按配にしてくれよっていうことなんです。

さて、それではサービス提供側としては、どのようなUIにするといい按配にしてくれというニーズに応えられるのでしょう?

たとえば、あらかじめ揺らぎをもたせていることをわかるような入力フォームにするというのが考えられますね。もちろん表示だけの話ではなく、内部処理としても、その揺らぎの範囲に対しては優先度を下げつつも検索対象に含めるという処理にする必要がありますが。

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また、「気にしない」を選択した場合の内部処理についても、もう少し統計情報を利用したほうが良いでしょう。つまり、「気にしない」がそのまま「下限から上限めいっぱい」になるのではなく、本人の年齢に対して、その年齢の人がどれくらいの下限から上限を希望と考えているか?という統計を自社が有するデータに基づいて割り出して、下限~上限の設定として処理して頂きたいと、そういう話であります。

なお、それは内部処理でありまして、表示上は「気にしない」と選択したならあくまでも「気にしない」として処理すべきです。このオーネットの入力フォームの確認画面では、相手の希望年齢の欄の確認表示から「気にしない」という文字列は消滅し、単純に「20歳から66歳」と表示されていました。

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これは「気にしない」を選択した入力者のUXと完全に合ってないため確認にならないどころか、確認画面における離脱率が高まる可能性があります。住所氏名電話番号まで入力させたのに確認画面で離脱させて一体何が嬉しいのかという話です。ちなみに年齢や身長の揺らぎなど許さぬ的な考え方でこうした確認画面を表示している可能性もありますが、そうであれば、そもそも「気にしない」という選択肢を設けないということも視野に入れてほしいところかなと。

ランディングページとしては、実質的にこの結婚チャンステストが「接客」、すなわち「潜在顧客とのファーストコンタクトの現場」です。ご希望の女性が5名おりましたと66歳で195cmを5人紹介される可能性を考えますと、ちょっと住所氏名電話番号など提供する気にはならないわけです。

オーネットは入会に10万円が必要なクラスであり、オンラインのみで完結する出会い婚活サービスではなく、入会者ひとりひとりに担当コンサルタントがついて面談ベースでマッチングの相談もするというものです。そして上場企業運営だから安心安全を謳っているのであります。そうしたサービス自体の本来の強みやコンセプトといった部分を踏まえれば、もう少し細やかな配慮に基づくUI設計とそれがもたらす良質なUXとして構築できるのではないか思います。

婚活からのUI・UX、現場からは以上です。

 

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