某所で会社紹介の発表をする機会を賜ったので、弊社ネコメシの特色である「受託制作大好きっ子がいっぱいいる」ことを魅力的に話せないかなー、と思って作成したスライドを公開しました。
スライド
内容
要点だけ、内容も書いていきます。受託の面白さを述べているのはスライド19枚目からです。
スライド内容の代替テキストがないのは今のところゴメンなさい!
息子は1歳になりました。
ネコメシの主たる強みはフロントエンドの設計力と実装力です。
「プロジェクトの隙間」は社内でもしばしばキーワードちっくに取りざたされます。ネコメシとして、というか仕事人として、非常に重要なファクターだと考えています。プロジェクトの隙間とは何か。それは専門領域同士のあいだに必ず発生する「考慮漏れ」だったり、「誰も手を出さない部分」のことです。
たとえば、あるデザイナーとエンジニアがいました。デザイナーは見栄えのする綺麗な絵を作る。エンジニアは技術的な正当性を強く重んじてやれないことはやれないとキッパリと言う。このような二者がプロジェクトに居たとしたら、彼らの間にプロジェクトの隙間は発生しているのです。コミュニケーションの不足と言ってもいいかもしれない。この隙間を放置していると、最終的な成果物に整合性が取れなくなったり、ひっくり返されたりして、誰かが泣くハメになるなんていうのがよくある光景です。
この隙間はだれが埋めるのでしょうか? ウェブディレクターは、職種としてこういう仕事を押し付けられがちですが、ネコメシはエンジニアこそがぐいっと前に出て、隙間を率先して埋めていくべきだと考えています。その理由としては、もっともエンドユーザーに近いところ=制作工程の最下流にいる(フロントエンド)エンジニアは、プロジェクトの状況を把握しやすい状況にいるからです。どのような意思決定を経てきたか。最終目標はどこか。デザインの意図は。それをどのように実現するのか。といったことを一番よく知っているのがフロントエンドの人間です(そうありたい)。
で、このプロジェクトの隙間を丁寧に埋めていくことが、結果としてプロジェクトの成功に寄与し、プロジェクトがもともと目指していた姿を、ウェブ上に結実させることができると考えています。(この想いはネコメシの社是みたいなやつにも顕れています。)
DODA キャンパスは昨年リリースされたサービスで、現役大学生をターゲットとして新しい形の就活スタイルを提供しています。サービスに登録した学生は、サービス上で、これまで学生生活を通じて得てきた経験やスキル、インターンシップの経験などを書いて企業にアピールします。それを見た企業が、気になった学生に対して、会社説明会に呼んだり、採用やインターンのオファーを送ったりできる仕組みになっています。
ネコメシはこのサービスの開発において、サービス設計、情報設計とデザイン、それからプロトタイプ開発で携わりました。また一部、実際のフロントエンド開発(Angular)も請け負っています。
ビデオオンデマンドサービスの、コールセンター業務用ウェブアプリケーションです。アプリケーションの画面設計、デザイン、そしてフロントエンド設計実装一式を請け負いました。コールセンターで働いている人が、電話を受けたり、電話の情報を記録したりする用途で利用されています。
アプリケーションは非常に複雑なシングルページアプリになっていて、お客さんからの電話を受けて、必要なことをメモったり、お客様のアカウント情報を参照・設定したり、「上司出せおらー!」って言ってきたお客さんを上司に取り次いだり…といったことがこの画面上でできるそうです。この案件は社長の完全ソロワークなのですが、
ザ・ノース・フェイスというアウトドア系のアパレルブランドの中のサービスで、ノースフェイスが出しているTシャツや鞄などに、独自の文字やロゴをプリントできるというサービスです。これは主にわたくし嶌田が担当しています。API 設計と各種実装を担当しました。
パーカーをカスタマイズしているところのスライドを載せています。右肩のところにネコメシと書かれているのが見えますか? 自然に合成されているように見えてると思いますが、実はこの合成はフロントエンドの技術で行っています。
これは商品写真と文字のデータを、曲面の情報データをもとに Canvas を使って変形・合成して表示しています。曲面の情報データというのは今表示している写真に対して、文字の画像をどのように変形して合成したらいいか、という情報を持っているデータです。このデータの作る手順を考えて、商品写真の撮影現場に立ち会い、実際にフロントエンドの実装も行うという、いろいろな経験ができて非常に楽しかった案件です。
ここから本題です。
よく受託制作は、サービス事業会社と比較されるのですが、受託制作は、サービス系と比較して面白くない。という風に言われることが少なからずあるなあと感じています。サービス系はイケイケの技術を駆使して、オープンソースプロダクトをつくったりだとか、人前に立って講演たりしてキラキラしてるし、それにくらべて受託って……みたいな。いわゆる「3K」でしょっていう。
そんなことない!!
受託はつまらなくない。おもしろいですよ。
クライアントの言いなりでしょうって。いやいやそんなことはありません。あくまでクライアントとの立場は対等です。我々はいちプロフェッショナルとしてプロジェクトに携わるし、クライアントとはきちんと信頼関係を結びます。受け取った企画やデザインに改善点があれば臆せず指摘するし、納得してくれないようなら、可能な限りの言葉を尽くしてぶつけてみる。そういったことはやれています。もちろんこちらの意見が通らないこともありますが、この失敗を糧にして次はもっと伝え方を工夫してみようとか、もっと意見の通り安い上流工程から携わって行こうとか。そういった流れに持って行きます。ですから、クライアントの言いなりになっていることはありません。
技術的トレンドを追いかけるのは技術者として大前提のこととして。よしんば技術を身につけたとして、その技術を使った案件が本当にあるのか? で言うと、実際来ています。Angular や Vue.js を使ったシングルページアプリはこれまでいくつか制作していますし、バックエンドがサーバーレスで構築されていることもしばしば。まったく未経験の状態から引き合いがきて、勉強しながら実装もがんばる、みたいなやり方のことも多いです(そういう時はちょっと大変)。
もっとも、技術は新しければ新しいほどいいというわけではありません。古くても、世界中様々なプロジェクトで導入されて、いい意味で枯れている、こなれている。そういった技術こそがマッチする案件も多くあるわけです。「jQuery をいま率先して使う」という判断も当然することになりますし、それは正しい選択だと信じてやっています。
大事なのは技術を適材適所で使うことであって、新しい技術に挑戦することそのものであってはいけないですよね。決して忘れてはならないことは、プロジェクトはお客さんのものであることですし、プロジェクトの成功を第一に考えなければならないということです。
まあキラキラしている感じは確かにありません。
だけど嫉んでいるわけではなくて、強がっているわけでもなくて、キラキラしていない自分たちを受け入れています。プロジェクトの成功のために、やれることを精一杯やって、お客さんに喜んでもらって、私たちはそれで生きる糧を得ているんです。十分すぎるぐらいに楽しいですよね。それでいいですよね?
ネガティブな意見の否定ではなく、ストレートな面白みというのもいくつか紹介します。
他の業種、多くの業種のことを知れることです。受託で請け負う案件の中には、IT 系とは縁もゆかりもない業界のウェブサイト制作の仕事もあります。そういった企業が持っている企業文化やソリューションは、身近では見つけられないようなノウハウだったりしますよね。そして受託というのは、その業界や会社が積み上げてきたものを、短いプロジェクト期間の間に吸収して成果物に繋げるという非常に貴重な経験をできる仕事だ。と言えると思います。
このあたりの話は CEO の森田の受け売りの部分が大きいですが、他人のふんどしで相撲を取る話です。この言葉はもともとあまりいい意味の言葉ではないですが、私たちは前向きにとらえています。というのは、あくまで我々は零細の Web 制作会社です。しかし他人、つまりクライアント企業のふんどしを借りることで、ともすると何百万人に影響を与えるサービスを作ることができるかもしれない。重要なのは、あくまでも自分のやりたいことをやることです。例えば自分の場合は、アクセシビリティに優れたウェブサイトを世に送り出したいことや、実装の方法論を改善し、より良い仕事を次にできるようになること。そういうことが自分のやりたいことです。誰に相談しているわけでもないし、プロジェクトの要件にあるわけでも、会社の指示でやっているわけでもない。でもいいんです。自分のやりたいことを、案件を通して、つまり他人の褌を借りて実現する。別に誰に迷惑をかけるわけでもないから自由にやればいいんです。そういうところが受託の面白さだなあと思います。
色々な仕事で色々な経験を得られるということの受託の面白さの一つかなと思います。受託だと長くても半年くらいのプロジェクト期間ですので、実に多様な経験を積むことができます。例えばここに小さい字であげたものは私の例でもありますけれども、技術的には非常に多様なスキルを手に入れることができます。
受託の Web 制作の現場においては、色々な乗り越えなければいけない問題が出てきます。一例を挙げると、ページをとにかく大量に作らなければいけない、とか。アニメーションデータのファイルサイズがでかすぎるから、何とかして削減しなきゃいけない、とか。そういった問題には正解がなく、ググっても出てこない。そういった状況の中で、粘り強く問題に向き合い、自分の持っている知識やスキルを総動員して、解決手段を探ります。このような問題と対峙して解決策を導くプロセスそのものがエンジニアとしてのカタルシスといいますか、非常に楽しいものだと思います。
これは受託の面白さというよりエンジニアリングの面白さとも言えるけど、守備範囲を広く持てる受託制作は問題に直面する機会も多くなろうと思います。
我々はプロフェッショナルとしてクライアントと信頼関係を結んで取引をしているわけなんですけれども、あくまで最終決定は相手の手に委ねられています。ですから我々のアイデアが必ず採用されるかと言うともちろんそんなことはありません。そこは仕方のない部分ではあります。
このへんはスキップで。
おしまい。
今後ともよろしくお願いいたします!