西武・そごう「さ、ひっくり返そう。」の云々

すずけんさんの正月の西武・そごうの広告に対する賛否から、広告の効果について考える | AdverTimes(アドタイ) by 宣伝会議という記事を読み、その辺のTwitter抜粋系まとめサイトとかのたぐいよりも、これはしっかり書かれている(まあ当たり前だが)・・・のではあるが、どうもアクセシビリティ的な視点が抜けてるよなあと思ったので(まあこれも当たり前といえば当たり前なんだけど、あまりよろしくない当たり前)、ちょっと僕の所感を書いておこう。

まずそもそもの話として、前述の記事では、このクリエイティブ自体は良いものであるという前提に立っているように読めたのだけど、そんなに良いものだったのかという疑義がある。僕としては、過去の広告にあったパイ投げのやつとかみたいな、エッジをきかせて炎上するたぐいよりは、行を逆に読んでいくという二番煎じの既存アイディアで無難に落としたよねっていう印象だ。別に全然悪いとかそういうことではないんだけど、とりたてて良いっていうほどでもないのではというような、そんな感じ。

しかしそうした部分はわりとどうでもよくて、僕が最初に思ったのは「コントラストが低い」ってこと。特設サイト、グラフィックになっているところはまだましだが、映像はコントラストが明らかに低い(全部低いわけじゃないんだけど、明らかに低いところがかなり散見される。冒頭からそうだし)。現代社会において、このコントラストの低さのままリリースしちゃうっていうのは、アクセシビリティ的な観点が欠落していることを露呈している。それはなんなら、ダイバーシティの否定にも通じるといえる。ようするに、自社さえ良ければいい、ないしは、従前の世界観でしか社会と向き合ってないというメッセージにもなりえるんじゃないのかということだ。

なので、この広告を発端としてクリエイティブがどうのブランディングがどうのっていう議論になること自体がちょっとぴんとこなかった。ブランド広告だとしたら不適切だろうと感じた次第なので。

しかしまあ、界隈にアクセシビリティに通じてる人が少ないから仕方ないのことなのかなあとも思う。現状は仕方ないとしても、どうにかしたほうがいいと思う。それと、逆にアクセシビリティ業界(謎)のほうこそが界隈に踏み込めていないっていう現実でもある。なんだかんだで実装レイヤーに閉じちゃってるんだよね、アクセシビリティって(特に、社会側から俯瞰して見たときの印象が)。このへん、本当どうにかしていかないといかんなあと改めて感じた。

それこそ、概念ひっくり返していかないと。(おあとがよろしいようで・・・)

 

「当たり前」をひっくり返す
竹端 寛
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